12章 和声リズム
「小節線の専制」......小節線の直後にある第1拍を小節内で最も強い拍と規定する慣習。
これを使うのは音楽がそれを要求する場合であって、それがたまたま第1拍だからではない。
緩急アクセント......持続時間の長い音の方が、短い音よりもアクセントを感じさせるという性質。 音楽のリズム・テクスチャー
和声リズム......曲全体を聴いたときに感じられるリズム。
旋律リズム......各旋律が持っているリズム。
和声リズムは、多くの場合どの旋律リズムとも違っているが、それらが組み合わされた結果として生じている。
和声リズムのパターンを生む根音変化は時間的に規則的でなく、リズム的に同じ価値を持っているわけでもない。
和声リズムと旋律リズム
旋律リズムがそれぞれ完全に違っている必要は無い。
1つの旋律線が他の全てを支配するとき、「旋律と伴奏」の形が生まれる。
旋律を目立たせるため、伴奏がリズム的な興味に欠けていることは多い。
根音変化の頻度
和声をほとんど、あるいは全く変えずにフレーズを構成することも可能。
逆に、小節の全ての部分拍で和声を変化させることも可能。これは穏やかなテンポの上で、和声の多様性を強調できる。
和声変化の間隔が広いと、おおらかでくつろいだ印象を与える。
和声進行の強さ
相対的な強さについての傾向
4度5度の根音進行は、3度6度よりも強い。
根音位置の和音は、転回形の和音よりも強い。
緩急アクセントのある和音は、ない和音よりも和声的に強く感じられる。
強拍に位置する和音は、弱拍に位置する和音よりも和声的に強く感じられる。
これらの傾向は音楽的な状況次第で競合し得るため、常に全てが当てはまるわけではない。
強弱の指示
音自体の大きさや強弱は和声リズムの要素ではなく、音楽の中のリズム感を強調するために利用されるのが普通。
特別な表現目的のために、本来のリズム感とは逆の使い方をする場合もある。
非和声和音
ある和音が独立した和音か、複数の旋律がたまたま重なっただけかという問題は、リズムを参照して解決されることが多い。
テンポの遅い曲では、速い曲よりも多くの和音変化を捉える余裕が、聴き手に与えられる。
非和声和音......複数の声部で非和声音が同時に動いたときに生じる3和音的な響き。